機構レポート

「専門26業務の廃止・撤廃」が追い打ちをかけるIT業界の「技術者高齢化問題」

2015年秋、改正労働者派遣法施行へ

2015年秋、改正労働者派遣法案が可決されました。

改正派遣法はIT業界にも多大な影響が予想される、“特定労働者派遣の廃止”

と“専門26業務の廃止”が含まれています。

今回は、専門26業務の廃止されると、IT業界にどのようなことになるのかを

考えていきたいと思います。

 

(特定労働者派遣の廃止については、“機構レポート:特定派遣廃止の影響と

その対応について“をご覧いただければと思います。)

 

 

これまで、“専門26業務”は、同一の派遣労働者に対して、期間の制限なく業務に

従事させることができました。その他のいわゆる“自由化業務”は3年の派遣期間

が定められておりました。今回の派遣法改正では、“専門26業務”と“自由化業務”

判別が難しくなってきているといった背景もあり、区分が撤廃されます。

つまり、すべての業務において原則で最長3年になるということです。しかし、

法案成立からすぐに期間制限を受ける訳ではなく、猶予措置が取られる予定と

なっております。改正法の施行以降に締結した派遣契約から対象になるよう

ですが、いずれ該当することになるので、派遣元・派遣先ともにしっかりと

した準備が必要となります。

 

派遣先(受け入れ側)の影響

まず、法改正によって派遣先でどのような影響が出るのかを考えてみます。

2006年頃からIT業界の偽装請負問題が表面化し、各社対応に追われました。

その結果、多重下請け構造を持つグレーな準委任契約から派遣契約へのシフト

が大きく進みました。派遣契約では、派遣法により二重派遣は禁止されています。

その結果、調達力を維持するためには、取引する派遣会社数を増やした会社が

結果として多くなりました。

 

今回、“特定労働者派遣の廃止”と“専門26業務の廃止”が施行されると、既存

取引先で一般派遣の許認可を取得できない会社も出てきますし、期間制限前提

でのリソース確保を考えなければなりません。ひっ迫したエンジニア不足の中

で、エンジニアの確保を図るためには、新たな派遣先・発注先企業を開拓する

必要があります。どの派遣先も派遣人員リソースがないのが現状ですので、

単なる派遣依頼ではない戦略的な取組みも必要になってきます。

調達ポートフォリオ見直しの一環で、地方のシステム開発会社に発注する

ニアショア開発の活用やM&A・出資含めた折衝も耳にする事が多くなり

ました。

 

迫り来る、システム開発会社の“技術者高齢化問題”

これまでソフトウエア開発も“専門26業務”に含まれておりました。これからは

3年で派遣技術者を入れ替えなければなりません。ここで浮上してくる問題が、

日本中で進行しているシステム開発会社の“技術者高齢化問題”なのです。

 

“技術者高齢化問題”とは、経営やマネジメント方面への興味や適性がなく、

専門職として技術者を続けているが、歳とともに新技術への対応が難しくなり

新たな案件に入れないという重大な問題になります。社歴が20年以上のシステム

開発会社の多くが直面しています。

 

このようなベテラン技術者は、低下または陳腐化していく技術力で勝負する

のではなく、長年従事した案件の業務知識やノウハウで契約を継続してきました。

このような例は、大型汎用機でのシステム案件に多く見られます。しかし昨今、

そもそものシステム寿命で大型汎用機からオープン系システムへの移行や

クラウド化の進行、主導してきた大手メーカーの業績不調による外注削減など

から、ベテラン技術者の居場所が次々と失われてきています。

契約が終了になれば、これまでの武器としていた知識が活かせる場は限定的で、

次の派遣先探しが困難を極めます。社内の受託案件に関しても、新しい技術を

使用しているので参画できないという例も発生しています。

 

“専門26業務の廃止”が追い打ちをかける

今回の改正派遣法よる“専門26業務の廃止”が、“技術者高齢化問題”をさらに

深刻にさせます。表現は悪いですが、契約単価面で値下げをしてでもしがみ

ついていた案件に、期間制限が設定されて退出を余儀なくされてしまうのです。

派遣元と無期雇用契約を結ぶ技術者には、期間制限の適用がなくなるという特例

もあるのですが、リスクも高まりますので簡単でありません。幸い、法案が施行

された後からの締結される契約が対象なので、3年は猶予期間があります。

この期間のうちに、難易度は高いですが、ベテラン技術者の活動の場を提供

できるように各社検討と準備を進める必要があります。

 

法改正をいい機会とらえる

システム開発会社の多くは、ジョブローテーションを積極的に行い人材開発

していくという取組みを苦手としています。顧客内に常駐し、その環境で経験を

積んでいくというのが一般的によく見受けられるスタイルです。

長期プロジェクトになれば、運用を含めて長年代わり映えのしない同一の環境に

従事している技術者も少なくありません。そうなると、その技術者のキャリア

開発や成長スピードも抑制され、結果として市場価値低下でキャリア断絶されて

しまう危険性さえ存在します。

今回の“専門26業務の廃止”により最長でも派遣期間は3年になりますので、

これをいい機会ととらえて戦略的なジョブローテーションとキャリア開発の

仕組みに着手されるのが、今後企業としての成長を支えていく重要な要素と

なるのではないでしょうか。

【記:代表理事 小林 亮介】

 

 

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